第094回国会 参議院附帯決議



税務調査での遡及年度数を5年から7年に変更する際、
特に中小企業に特段の配慮をする事とした参議院決議
(参議院議事録からの抜粋)





第094回国会 大蔵委員会 第21号
昭和五十六年五月十五日(金曜日)

   

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出席者


<委員長>
中村 太郎


<理 事>
衛藤征士郎
嶋崎  均
藤井 裕久
穐山  篤
塩出 啓典


<委 員>
岩動 道行
岩本 政光
大河原太一郎
梶木 又三
片山 正英
河本嘉久蔵
古賀雷四郎
塚田十一郎
野呂田芳成
藤井 孝男
坂倉 藤吾
鈴木 和美
対馬 孝且
和田 静夫
多田 省吾
矢追 秀彦
近藤 忠孝
三治 重信
野末 陳平


<国務大臣>
大 蔵 大 臣  渡辺美智雄


<政府委員>
大蔵大臣官房長  山口 光秀
大蔵大臣官房審議官  矢澤富太郎
大蔵省主税局長  高橋  元
大蔵省証券局長  吉本  宏
大蔵省銀行局長  米里  恕


<事務局側>
常任委員会専門員 伊藤  保

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脱税に係る罰則の整備等を図るための
国税関係法律の一部を改正する法律案

(内閣提出、衆議院送付)
委員長(中村太郎君
次に、原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕


委員長(中村太郎君)
多数と認めます。
よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
藤井君から発言を求められておりますので、これを許します。藤井君。


藤井裕久君
私は、ただいま可決されました脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。

案文を朗読いたします。
脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)


政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。


一、脱税の調査に当たっては、法令の理解度、脱税の意思の程度等の相違に配慮し、納税者の立場をも十分尊重して対処すること。


一、今回の改正により延長された更正・決定等の制限期間にかかる調査に当たっては、原則として高額、悪質な脱税者に限り、いたずらに調査対象、範囲を拡大するなど、中小企業者等に無用の混乱を生ずることのないよう特段の配慮をすること。


一、所得発生の時期から相当期間経過して更正・決定等が行われる場合、直ちに納税することが困難とたる納税者を救済するため、納税緩和制度の弾力的運用に努めること。


一、保存期間が延長される青色申告者の帳簿書類の範囲については、中小企業者等に過重な負担とならないよう、最少限度のものとすること。


  右決議する。
以上であります。
委員各位の御賛成をお願いいたします。


委員長(中村太郎君)
ただいまの藤井君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕


委員長(中村太郎君
全会一致と認めます。
よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、渡辺大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します
渡辺大蔵大臣。


国務大臣(渡辺美智雄君)
ただいま御決議いただきました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って誠意を持って対処したいと存じます。


委員長(中村太郎君)
なお、審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕


委員長(中村太郎君)
御異議ないと認め、さよう決定いたします。






 この決議は脱税に係る罰則強化策として提案された国税通則法の改正案、つまり税務調査で遡及課税される年度数をそれまでの5年分から7年分に拡大する法案審議の過程で持ち出されたものです。

 脱税の罰則強化は、この年の前年に摘発されたフジタ工業や竹中工務店等の巨額脱税事件、或いは工業工事受注をめぐる裏金や政界工作資金づくりを取り締まる意味で国民世論の高まりの中で行われたもので、この法案が成立する事により中小零細事業者への新たな負担増しとならない様にするために敢えてこの附帯決議が行われたものです。

 しかし現在ではこの附帯決議の精神は全く無視され、税務署は中小零細企業に対して7年間の課税を日常的に行っております。決議文の内容を読む限り、7年間の遡及課税が行われるのは大企業の大口脱税や査察事件となった犯罪的脱税行為だけに限定されなければならないのでしょうが、税務署は成績を上げるためか、増差所得(税務調査の項参照)を稼ぐ意味で積極的に7年間の課税を行っております。

 大蔵大臣(当時)が遵守すると明言している決議を末端の組織である税務署が無視する様な行政が本来の姿なのでしょうか疑問が持たれます。


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