税務調査について


その3

税務調査の対応




このページでは実際に税務調査が行われた際の対応や 調査官がどこを調べたがっているのかをご説明いたします






 税務調査を受けるときの事前準備
無予告で行われる「例外」の調査ではなく、ちゃんとした法に決められた手続の上で行われる税務調査について記載をしています。 
税務調査の日時は税理士さんも交えて決める事となります。
税務署の方から調査日時を一方的に指定してくる場合も以前は多かったのですが、現在では極めてあり得ない例外を除いて事前通知で納税者側の都合を聞いた上で調査日を決める事となりますので、ご自分の都合なども最優先して主張していただいて構いません。
なお税務署との日程調整などは税理士さんがやってくれるはずです。 
調査日が決まったら税理士さんとよく打ち合わせをしておいた方が間違いがありません。
良い税理士さんだったら必ず事前に打ち合わせに来てくれるはずです。
真面目に決算をしているつもりであってもやはり一通り見直しておいた方が無難ですね。
調査対象に選定されたという事は、それなりの理由があるという事かも知れません。
調査の際に提示を求められた帳簿や証憑類を慌てて探すなどという恥ずかしい行動は取らないようにしましょう。
全ての帳簿類や各種記録類は調査官の求めによりすぐにお見せできる場所に事前に用意をしておいた方が無難です。調査は3期分から5期分ほど遡って調べますので、帳簿や証憑類もかなりの分量になります。
調査当日になって慌てふためいていると調査官からあらぬ疑いを掛けられる可能性もありますし事前準備はちゃんとしておく方が良いでしょう。 
あとはグッスリ眠って体調を整えて調査官をお迎えしましょう 





税務調査を断る事は可能か 
税務調査はあくまで「任意調査」であり、納税者側の同意を得て初めて行われます。
しかし税務調査の対象となった以上、納税者側に正当な理由無しに拒否する権限はありませんので嫌でも「同意」をせざるを得ません。
調査を断るには課税庁である税務署等を納得させるだけの理由が必要でしょう。


「仕事が忙しいから」程度の理由では税務署は納得しません。
「体調が悪い」はケースバイケースですが、でも調査の日を数日間程度先に延ばす程度の効果しかありません。入院手術とかの理由があれば先に延ばされるでしょうが、体調程度でしたら調査官を納得させるのは無理でしょう。
冠婚葬祭や経営者の重病とかの特別な理由があれば、場合によっては税務調査が延期または中止される場合もあります。


税務調査は原則は事前通知が要件となっていますから、その事前通知段階で税務調査に応じられない理由を説明して納得してもらうしかありません。
もし事前通知無しでいきなり調査に来た場合などは、そもそもその様な調査は手続き的に違法ですから調査に応ずる必要はありません。
 





 調査の際の調査官に対する応対
調査を行う部屋は? 
調査の場所はちゃんとした場所を提供してあげてください。
出来たら通常の仕事を行っている事務室の様な部屋ではなく別室の方が良いでしょう。
机・椅子があり、昼休みも使用でき、出来れば鍵が掛かる部屋があれば理想的です。
(部屋鍵が無いと、昼食時に外出する際に証憑類を一旦全部片付ける必要がある)
調査は朝から夕方まで丸々一日中実施されますから、トイレにも何度か行きますし冷暖房設備も必要です。
別に「お客様」ではありませんが、でも調査官も公務で来る以上は歓迎はしなくても常識的な対応はしてあげるべきでしょう。 
調査官への接待は? 
お茶やコーヒー程度はOKですが菓子は出しても手を付けませんし昼食の用意も不要です。昼食はだいたい外出して外で済ませる事が多いようですし、もし周辺に食事をする場所が無いとかで用意が必要な場合は調査官の方から頼んできます。
もちろんその場合も全て実費は支払っていきます。 
普段の日常仕事は? 
調査当日であっても本業の仕事は普段通りに進めてもらって構いません。
調査実施日の朝と夕方だけは社長が顔を出す必要がありますが、日中は普段通りに仕事をしてもらって構いませんし外出も自由にどうぞ。
社長への質問事項などは社長の居る時にまとめて頂きましょう。
ただ外出の際は調査官にその旨を一言言っていただければベターです。
調査当日は社長よりも経理担当者が大変かも知れませんね。 
受け答えは正確かつ明瞭に 
調査官の質問に対して下手な答え方をしますと揚げ足を取られる事もありますし、緊張して思わぬ方向に話が進んでしまう事もあります。
緊張するなというのが無理な話なのですが、ただ分からない事やハッキリしない事は即答しないで後日回答にすれば結構です。
決して推定や推測で回答しない事が重要です。
「後で調べてお答えします」で構いません。 
調査時間
税務署からの距離にもよりますが、調査はだいたい9時半から10時前後に開始し、夕方4時半前後に終了する事が多いようです。
法人税の調査などでは通常これが二日間続くのが一般的です。
 





 書類のコピーや帳簿の借用は?
税務調査では調査官から書類コピーを頼まれる事がよくあります。
結論から書きますと、コピーはあくまで会社側の協力に過ぎませんし別に断っても構いません。
調査官は帳簿や証憑類を目で確認して調べる権限はありますが、会社にその書類等のコピーを命ずる権限はありませんから、頼まれた場合にはその都度ご自由に判断ください。
あくまで会社のご判断で結構です。
会社によっては、企業の情報漏洩問題から一切のコピーに応じないという方針のところもあると聞いておりますし、また税務調査の立会を行う税理士さんにも、税務署には一切コピーを渡さないという方針の方もかなりいらっしゃる様です。 
なお当事務所のスタンスとしては、あくまで会社側の意向を最優先しております。
調査の早期終了のためには最低限の協力には応ずる方針であり、書類のコピー程度はなるべく協力する様にしております。
但し、情報漏洩問題の怖れから、調査官がコピーする書類は必ず調査対象である会社自身が目を通していただく様にお願いをしております。
調査官が会社の書類のコピーを取る場合は、必ず会社の許可了承が前提だという事です。
  
最近の税務調査では、調査官が携帯コピー機を持参する事も多い様です。
そもそもコピーを取るには会社側の同意が無いとダメだというのに、わざわざ重いコピー機を持って会社に来る調査官の気持ちが理解できません。
おそらく会社側は絶対に断る事がないと思っているのでしょうね。
電源だって会社のコンセントから取るのに全く変なやり方です。
その場合には、仮に会社側がコピーに応じ、そして電源使用まで認めたにしても、色々な書類を好き勝手にコピーされる危険性もありますから、必ずコピーを行う都度、会社側の人間が立ち会ってコピーされる書類を1枚1枚確認する様にください。
直接調査に関係が無い書類なのに、他の会社の調査に役立てる目的で勝手にコピーを取られる危険性があります(いわゆる資料化です)。
 
帳簿類の借用は、特に個人事業主を対象とした所得税の調査に時折見られます。
これは本来は会社内で実施すべき調査を税務署の庁舎内で行おうとするもので、調査環境が悪い、つまり机・椅子が無いとか、狭い、騒音で仕事にならない等々の理由で、或いは調査時間が足りなくなった等の理由で、税務署に持ち帰って調査をするために帳簿類の借用を求められるものです。
新米で調査慣れしていない調査官が、会社側の人達や税理士が並ぶ前で行う調査の緊張感に耐えられず、そのために帳簿等を税務署に持ち帰るといった情けない実例も決して少なくはありません。
 
税務署は帳簿類(例えメモ用紙1枚でも)の借用(留置=トメオキ、と呼んでいます)には必ず複写式の借用書を置いていき、そして返却時には会社の確認と押印を求めます。
会計帳簿は企業の財産です。
税務調査を長期化しないために仕方なく帳簿類の貸し出しに応ずる訳ですから、その期間はせいぜい数日間程度とすべきでしょう。
調査官によっては数ヶ月間も帳簿類を借りっぱなしという例もあります。
あまり長期間戻ってこない様でしたら当然に抗議して返還してもらいましょう。

長期間戻ってこない場合には不服申立の制度もあります。 
調査官が会社側にコピーを求めることが出来るのは「調査上の必要がある場合」に限られています。
しかし多くは調査官は上司に調査結果の説明(復命)をするための資料としてコピーを求めることも多い様で、これは内部での説明目的であって調査上の必要性ではありません。
本来はこの様な場合にはコピーを求めるべきではありません。
コピーを渡すということは、会社内の情報を外に漏らすという事です。
コピーされた書類が他の会社の調査を行う際の「資料」として使われる事もあります。 
 税務職員はこの様に納税者側にやたらにコピーを求める訳ですが、一方税務署が納税者にコピーを渡す事はまずありません。
 例えば納税者が自分が提出した申告書を後で自分で見る場合でも、税務署は閲覧までは認めますが絶対にコピーはくれません。
 コピーをくれればすぐに終わるのに、税務署は何時間かかっても納税者に自分で書き写させます。この様な税務署の対応が納税者の反感を招いています。
 つまり税務署等は納税者に対しては決して「公平」な立場ではなく、あくまで上から見下ろすといった「御上」の態度そのものと言えます。
 税務調査の際にコピー提供を拒否するという対応を取る税理士先生方が多いのも心情的には大いに理解できるところです。 
 調査官にはパソコンの中を調べる権限まではありません
 調査官にはパソコンの中のデータまで確認する権限はありません。税務調査による質問検査権の範囲は「税の調査について必要のあるとき」に「調査対象者に質問し」、更に「帳簿書類その他の物件を検査し」「当該物件の提示若しくは提出を求める」と国税通則法第74条の2に規定されており、もし調査官にパソコン内のデータについて提示や提出を求められた場合には、ちゃんとプリントしてお見せすれば良いでしょう。

 会社に取って重要なデータなどが入っているパソコン内ですから、いくら税務調査といえども勝手に中を確認されてはたまりません。得意先の貴重な情報、医療業でしたら患者のプライベートな情報、飲食店でしたら他店に知られてはならないレシピなども入っている可能性のあるパソコン内を勝手に見られては企業の存続にも関わります。

 調査官には法律で守秘義務があるからと、パソコン内の情報を全て知りたがる調査官も居るようですが、守秘義務があるにしても情報漏れ自体を防ぐ効果は無く、ただ情報漏れがあった際に当の調査官が処罰される規定に過ぎませんから、情報漏れは絶対に避けなければなりません。どこかの国税局では、ほぼ年中行事の様に情報漏洩等で職員が懲戒処分されている事実もありますから、守秘義務云々は信用はしない方が良いでしょう。

 また調査官によっては、パソコンは会社の資産だから当然に税務調査ではデータの確認まで行えるのだと言い張る方もいらっしゃる様ですが、これはあくまでこの調査官個人の考え方に過ぎず根拠はありません。中にはUSBメモリでパソコン内のデータを根こそぎ持って行くという調査官もいたらしいですが、この様な行為は犯罪となりますので絶対に許してはなりません。

 パソコン内のデータを調査官自身が確認するのは裁判所の捜査令状が必要です。
 税務調査の録画や録音は?
 課税庁は税務調査で録画や録音をされることは嫌がります。嫌がるというよりは拒否をしますし、それでも録画等を続けると調査官は調査拒否と判断をして調査を中止する場合もあるようです。この場合の調査の中止とは、調査をそのものを止める訳ではなく、税務調査を拒否する非協力な納税者とみなして報復的な課税をしてくる方針に変更するという訳です。

 課税庁は税務調査に税理士以外の立会人がいるだけで調査を中止する場合もあります。つまり調査の内容が第三者に、例えそれが納税者の親族等であっても、納税者以外の人物に知られることを極端に嫌がります。要は税務調査はあくまで調査官と調査対象者だけで秘密裡で行いたいという体質なのでしょうか?。調査の「証人」は少なければ少ないほど都合が良い様です。そんな体質の中で録画録音などが許されるはずはありません。もしオープンな税務調査になったら、先のページで書いた違法性の強い調査方法などは全くできなくなりますし・・・。

税務調査の立会は、税理士法により税理士以外には認められておりませんが、もし納税者自身が了承するのならば、例え友人知人とかでも構わないのではと思うのですが・・。課税庁側は第三者の立会を拒否する理由として「守秘義務」を挙げますが、どうも拒否理由の根拠としては理解ができません。

 当事務所の対応ですが、録画や録音などは今までに一度も行ったことはありません。これは税務調査に「非協力」と認定されることによるクライアントの皆様、つまり調査対象者への不利益や報復的課税を警戒してのものです。でももしお客様のところに無予告で違法なリョーチョー調査などが突然実施されるようなことがあったら、当方でも対抗手段としてその様な事も考えなければならないかも知れません。

 事実、先のページで紹介しました「北村事件」などは、またまた調査官の暴言を録音していたことが勝訴判決に繋がったと聞いております。調査官達は後々に証拠が残らないという確信があってこそ平気で違法な調査を行えるのであり、録画録音といった記録さえ存在しなければ、後で何を言われても否定ができる訳です。

 私としては、課税庁側が合法的に調査を行ってくる限りは、敢えて課税庁と敵対関係となる様なことは行わない方が良いのではと思っております。調査官のほとんどは真面目に調査を行っていますし、紳士的に行われる調査には納税者側も誠意を持って紳士的に接すれば良いでしょう。もしリョーチョー調査の様な、明らかに違法と思われるな調査が行われた様な場合には、納税者としても対抗手段として自己防衛する必要もあるのでしょうが、その様なことは今後も起きないように願うだけです。 







ここからは調査官からの目線も含めて 税務調査をご説明させていただきます


 調査官は単なる世間話は行わない
調査官は会社に来ていきなり帳簿等を調べる訳ではありません 
調査の一日目は必ず挨拶の後の経営者との世間話が始まり、その後ようやく緊張する税務調査の開始となります。
世間話ですから和やかな和気藹々といったムードになりそうですが、緊張は解かないでください。税務調査は既に始まっています。
調査開始直後の世間話は調査官のテクニック 
経営者の緊張を解き、そしてリラックスした経営者の口から如何に調査に結びつく情報を得るか、といった税務調査上のテクニックの一つであり、これは単なる世間話ではなく、既に税務調査が始まっているものと考えて、決して緊張を解かない事です。
調査官は世間話の中出この様な事を知りたがっています 
経営者の趣味や興味
 
   ゴルフ・ギャンブル・クルマ等、金の掛かる趣味の有無
    (その金はどこから出ていて、申告所得から見て妥当か?)

株とか投機とかに興味を持っていないか?
   
 隠し財産が無いかどうか?

友人知人・親戚等に金融機関に勤める人が居ないか?
   
 必ず付き合いで取引があるはず

最近何か高額な資産の購入が無かったか?
    資産の購入資金をチェックするのは調査の基本中の基本
調査官は世間話の中でも絶えず社内に目を光らせています 
壁に貼ってある金融機関のカレンダー
   
 決算書に載っている金融機関かどうかをチェック

同じ様に応接ソファの灰皿やマッチ、そしてティッシュ等についても金融機関名や取引先の名称をチェックしています

社長の奥さんの身につけているブランド品にも当然に目を配っています。
優秀な調査官ほど、この世間話での対応が上手です。
世間話も無しにいきなり帳簿を調べ始める調査官は新米でしょうから怖れるに足らずでしょう。





経営者の視線はどこに向いているかに注目 
調査官は経営者に質問する際には必ず目を見ています

 視線の先には脱税事実あり
   という事らしいです
  (税務署内でこの様な研修がされていると聞きました)
調査官の予期せぬ質問に経営者が詰まる場合、だいたい人間の本能としてその視線は救いを求める相手か、或いは見られて困るモノに無意識のうちに集まるらしいです。
調査官は経営者の視線がどこに向いているかを絶えず確認しています。
電話機の周辺はチェック項目
調査官は必ずしも机の上だけで調査を行っている訳ではありません。
用意(準備)した資料をどこから出してきたか、どこに保管していたかについて細かく確認する事も多く、場合によってはその保管場所の確認などを行おうとします。
違法な現況調査(別ページ参照)が行われる事もあります。
 
その他に、ほぼ必ずと言って良いほどに確認するのが電話機周辺です。
仕事の注文や金融機関・取引先との連絡等、調査官が知りたい情報はほとんど電話等により行われる事から、調査官は電話機周辺に置いてある文書は例えメモ用紙1枚であっても必ず着目します。
何気なくちょっと電話をしながらメモ書きしたものが、調査官に取っては重要な調査情報となる訳です。
またFAXの送受信記録も調査官に取っては重要な情報です。
調査官はこの様なメモを見付けるため、何とゴミ箱の中まで調べる事があります 
これらは税務署等の内部では「現場資料の確認」と称される業務で、税務調査を実施する際の基本中の基本となっています





 税務調査の対象者はどの様に選ばれるか
「何で俺のところが・・・」
「俺より奴の方が絶対に先に調査だろ?」

税務調査の対象に選ばれたという事は確かに苦痛と苦悩のスタートでもあります。
懸賞ハガキの当選の様にくじ引きで選ばれる訳でもなく、また順番に順序よく来る訳でもなく、何で自分が調査の対象となったのかは気にならないはずはありません。
もちろん調査官に聞いても教えてくれる方はほとんどいません。

ご参考までにその選定基準等をご紹介します。
以前に親しい税務署員などから聞いた内容です。よって現在も当時と同じ基準ではないかも知れませんのでご参考程度にという事でお読みください。 
1 過去の税歴の検討
税務署に提出した財務諸表(貸借対照表や損益計算書等)について、最低でも3期(年)分程度の数値を比較分析し、その結果として異常な勘定科目を抽出したり利益率等の財務比率を分析比較したりして調査先を決めます。

2 好況業種・重点調査業種
業界全体の業績が好況な場合は調査対象となる割合も高くなります。
つまり儲かっているのならば少しは税金の誤魔化しもしているだろう、と税務署が睨んだという訳です。また各国税局で「重点調査業種」というのを指定する場合も多く、これももちろん好況であると判断してのことです。

3 各種情報
税務署(国税局)には様々な情報が集まってきます。税務署員達が自ら集めた資料もあれば別な企業の調査の際に知った情報もあります。そしていわゆる「タレコミ」というのが一般国民から提供される情報であり、嫉み・嫉妬等による信憑性の薄いものもあれば、元従業員からといったかなり正確な告発もあるらしいです。

4 前回の調査内容から
税務調査というのは一度あれば二度と行われないというものではなく、事業の規模にもよりますが数年か十数年に一度は定期的に行われるものです。そして調査対象者を選定する場合は必ず前回の調査の内容を再チェックされます。
前回の調査で問題点として指摘されていた事項がその後ちゃんと是正されているかどうかのチェックのために調査対象となる場合もありますし、また前回の調査で不正計算、つまり重加算税の対象となる事実があった様な場合はかなりの確率でその後の調査の可能性が高くなってしまいます。

5 暦年未接触企業
調査官が企業を訪問して質問検査権を行使して調査を行う事は「接触」との呼ばれており、国税庁はこの接触割合を少しでも高めたいというのが至上命題となっています。
国税庁としては一度も調査を行っていない企業の存在は困ったものであり、その様な企業は特に決算の内容に問題点が見当たらなくても調査対象となる場合があります。

6 その他
青色欠損金の繰り戻し還付請求を行った場合には、規則上は必ず税務調査を行った上で税金の還付をしなければならない規定らしいです。
また消費税の還付申告書を提出した場合にもかなりの確率で調査が実施される様です。
税務署(国税局)は税金の還付とか払い戻しという事には過敏に反応します。
正当な権利である税金の還付申請に無言の圧力をかけられている様に感じます。
 
 調査の理由を絶対に明かさない課税庁
税務署等の課税庁が税務調査の事前通知をする場合、国税通則法第74条の9に基づく法定通知事項の一つとして「調査の目的」を必ず調査対象納税者に対して通知を行わなければなりません。
しかし課税庁はこの目的を「正しい課税標準の把握のため」「申告内容の確認のため」程度しか言いませんし、酷い調査官になると「税務調査を行うため」しか言わない場合もありました。

そもそも調査というのは申告書に記載されている課税標準の額が税法に従って正しく計上されているかをチェックする目的で行われる訳ですから、「正しい課税標準の把握」や「申告内容の確認」というのは調査の目的ではなく当たり前の話でしかありません。

国税通則法改正の際、この「調査の目的」というのが通知義務に含まれた理由は、どう考えてもこの様な当たり前の事をわざわざ通知するためではなく、もう少し具体的に調査対象者に対し自らが調査対象となった理由を分かりやすく説明する目的であったと思われます。

つまり「利益率が急に悪化した理由を調べたい」「土地を購入した資金の内容を見たい」等々の具体的な調査の目的を調査を受ける納税者側に知ってもらうメリットを考えてものだったと思うのですが、残念ながら今ではこの「調査の目的」通知は意味の無いものになってしまっています。

国税庁にすれば、下手に理由を知らせてしまったら、その部分だけに調査が限定してしまって全てを調べる事が困難になるという事を怖れているのでしょうか。それよりは調査を受ける納税者側が、自らが調査対象となった理由に納得できる方が遙かに税務行政にはプラスになる様な気がします。
調査に来た調査官に調査の理由を尋ねてもほとんどの調査官は教えてはくれません。
個々の調査官の性格とかの問題ではなく、組織として口止めされている印象です。
通常の企業(税務官庁以外のお役所も含めて)だったら、わざわざ会社にやって来て帳簿等を調べる際には必ずその理由を言うのが常識なのでしょうが、税務署(国税局)には何故かその様な世間一般の常識は無いように感じます。
国税庁の見解は、
調査の合理的必要性の判断は税務官庁の裁量に委ねられている 
これって分かりやすく書けば
御上のやる事には間違いなど無いから
庶民が一々文句を言うのはけしからん!

という事ですよね。 





 反対に税務調査が入らない企業とは
税務調査は決して全ての企業に公平に行われている訳ではありません。
ほぼ毎年、或いは3年毎に決まって調査官の訪問を受ける企業もあれば、開業して数十年も経つのに一度も調査官の訪問が無いという企業もあります。

この差はいったい何なのでしょうか
調査官が税務調査先の選定を行うやり方 
上に記載した様に、調査官が調査対象企業を選定する作業(これを申告審理といいます)の際に対象から外れた場合には、取り合えずその年度中の調査はありません。
国税局や税務署の年度は人事異動の関係で7月~翌年6月となっております。
調査対象企業の選定作業、つまり申告審理の時期は、申告書提出後数ヶ月後、つまり例えて書けば3月決算法人ならば5月に申告提出があり7月前後にこの申告審理が行われます。
個人事業主でしたら申告が3月ですからやはり7月前後が申告審理となります。
この選定に漏れた場合は、その一年後の申告審理までは調査対象となることはありません。
つまり貴社(貴方)の申告書が調査官にチェックされるのは一年に一度だけ。
そのチェックに漏れた場合には取り合えず一年間は調査対象となる事はありません。
但し特別な資料情報等があって追加に調査対象となる場合もあります。


つまり、たまたま調査官の目を逃れてその年度の調査対象から外れても、必ず翌年度には目に止まりますし、そんな「幸運」は何年間も続くはずがありません。
それでも何年間も税務調査が入らない企業は実在します。
何故なのでしょうか?。
では長期間調査が入らない企業とは?
企業の業種が調査の対象に値しない場合 
例えば収入がガラス張りの企業などは調査が入る事はあまりありません。
調査官も基本的には税金の追徴が目的ですから、決算に間違いが無さそうな、つまり追徴金の課税が望めなそうな会社は余程の理由が無いと調査に来ない様です。
例えば毎月決まった家賃しか入ってこない不動産の賃貸業者などはあまり調査対象とはならない様です。

また業種自体が不況だと調査対象から外される様です。
これは課税庁が企業の事を優しく思いやって調査対象から外す訳ではなく、儲かっていない企業は所得を誤魔化す事も無いだろうし、また仮に追徴税額を決定したところで払えないだろうといった事です。
企業の事業規模が小さい 
事業規模が小さく従業員もいない様な会社はまず調査対象となる事はありません。
年間収入が数百万といった単位の会社は消費税の課税事業者にもなりませんし、まず余程の誤りが無い限りは申告書はフリーパスです。
調査官も決して暇ではありません。 
欠損企業 
赤字申告をしている企業は、例え申告漏れの所得が発見されたところで、申告赤字がやや減少するだけの事であり、追徴税額が発生しない可能性が高い事から、調査の対象になる事はあまり無いようです。
国の財政が赤字のせいか、課税庁も正に営利企業化しており、追徴税金の出そうにないところには調査に来ません。
但し欠損法人であっても、消費税で追徴税を取れそうだと思われた場合には、調査官は勇んでやって来ます。 
調査官が嫌がる企業 
調査官も人の子。出来るだけ楽に調査を終わらせたいという気持ちがあるのは当然でしょう。
よって最初から調査困難と予想される企業は調査官も担当するのは避けたがります。
具体的に書けば、例えば厳ついお兄さんや指が欠けた強面の怖いオジさん達がいる企業などは、余程の事が無いとまず調査の対象にはなりません。
日本語が通じない企業などもほとんどの調査官達からは避けられる事となりますが、こちらの方はちゃんと外国語ペラペラな職員が専門に担当します。
その他調査対象から外される企業 
恥ずかしい話ですが、国税局・税務署の幹部や親戚が絡む企業、或いはそれらの幹部の行きつけの飲食店等、また官公庁御用達の業者なども調査対象となる事はまずありません。
政治家絡みの企業も外されます。
これらはどちらかと言えば都市部よりも田舎の方にその傾向が強い様です。

また国税局や税務署の元幹部が関与税理士(OB税理士と呼んでいます)として名を連ねている場合も調査対象から外される事がありますし、税務調査を嫌がる企業などはわざわざこのために無駄な顧問料を支払ってOB税理士と顧問契約をしている例もあります。

不公平税制とはよく言われますが、税務調査も決して公平には行われていません。
特に国税局・税務署の元幹部絡みの問題は一人の国民として情けない思いがします。
調査官の中にも正義感が強く良心的な人達が大勢居り、そんな職員達が一番歯がゆく恥ずかしい思いをしているはずです。
税務調査が入らない企業ということは、多くの場合は不況業種か欠損企業、或いは調査に値しない程に小規模な儲からない企業ということで、これは企業経営者としては喜ぶのではなく不名誉として捉える必要があります

つまり
調査が入らない企業=税務署にも相手にされない企業
という認識を持つことが重要でしょう。





税務調査に「勝つ」ためには?
税務調査は勝負ではありませんから「勝ち負け」という感覚はありません。

でも調査が終わって多額の追徴金を支払う時には「残念」といった感情が混じるのは当然であり、反対に追徴金ゼロで何のお咎めも無く調査が終わった場合には勝負事で勝った時と同じ様な嬉しさを感じる方もいらっしゃると思います。

税務調査は「勝負」ではないものの、やはりその結果には追徴金という金銭負担が伴うことから、心理的には「勝負」に近いものがあると思います。
では「税務調査に勝つ」とは? 
1 早期決着
税務調査期間中の経営者・経理責任者等の心労はかなりのものです。追徴金云々よりもとにかく早く終わらせてくれ!、とおっしゃる方もよく居られます。
とにかく一日でも早く終わる事が大事です。

2 追徴金ゼロ!
ゼロとは言わないまでも、少額で終わるにこした事はありません。

この2点ではないかと思われます。 
 「勝つ」ためには税務調査を利用するという気持ちも重要
嫌だ嫌だと言っても拒否できないのが税務調査。
どうせ調査されるのならば、せっかくですから逆に調査を利用してみるといった風に発想を転換しては如何でしょうか?。
税務調査の結果、会社の経営上の問題点を早期に知ることもありますし、また今までの調査の中では、従業員が会社の売上や売掛金を着服していた事実まで分かった事も何度かありました。
正に調査様々です。
税務調査を受けるということは、決してマイナス要素ばかりではありません。
プラス思考で考えれば調査も良いものです。
無料で企業診断をしてくれると思ったら税務調査は実にありがたいものです。
特に飲食店の調査の際に、従業員が日々の売上を着服していた事実を税務署員に見つけてもらった時には、この会社の社長は当の税務署員に感謝をしておりました。
被害が膨らむ前に最小限に食い止める事ができた訳です。
また会社の経営上の問題点などを指摘してくれる調査官もいます。
調査官はただ税金を追徴しに来るだけではないという事です。 


企業としての理想像は? 
大いに利益を出し、
税務署にも頻繁に調べてもらい、
そして追徴金はゼロ!
これが企業の理想像でしょう。
税務署にも注目されるほどの利益を出し、そして税務調査では数年間隔で定期的に調べてもらって企業の問題点の指摘を(無料の企業診断)してもらい、でも税務調査の追徴金としてはゼロまたは少額(企業診断の手数料位は仕方がない?)で済んでしまう・・・。
これが企業として理想像です。
どうせ避けることのできない税務調査ですから大いに活用しましょう!






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