税務調査について


その4

調査官にとっての税務調査





調査は調査官にとってもストレスのかかる仕事らしいです 決して喜んで楽しく調査を行っている訳ではありません






税務調査時には情け容赦の無い鬼にも見える調査官達ですが、家庭では優しいパパやママであり、(最近では女性の調査官もかなり増えています)、一旦執務時間を離れれば我々と何ら変わらないごく普通の人達の集まりです。
ただ下にも触れる様に増差所得と調査件数のノルマ消化というのはかなりの大きなストレスを職員達に与えているらしく、精神面の病気や自殺者などの数も他の公務員よりは多くなっていると聞きます。
私も何人もの税務署員の方を知っていますが、皆さん優秀で気持ちの良い方ばかりです。

そんな可哀相な調査官達の現状を紹介します。





 調査日数と件数とで一年中追い詰められている調査官達
(至上命題となっている接触率の引き上げ)
調査官達は年がら年中ずっと調査に追われています。
これは
接触率(実地調査率)の引き上げが国税庁の至上命題となっているためで、多くの調査官達は年間の調査件数の割り当てをこなすために日々大変な思いをしているのが現状です。
接触率(実調率)は年々低下しています。
これは申告件数や納税者人員の増大の割に調査官の数が増えていない事が原因です。
でも国税庁は調査率を増やす事が適正申告の最大の前提条件だとして税務署員にこの至上命題を求めています。 
国税庁の定員は平成27年度で55,703人です。
平成9年度の57,202人をピークに減りつつあります。
(国税庁ホームページ「税務行政の現状と課題」より)

一方、申告書の提出枚数は増加するばかりであり、現在では所得税の確定申告書の提出枚数は二千万枚を大きく超えており、法人税申告書の枚数も277万枚を超えております。
(資料は国税庁発行の「国税庁レポート2015」によります)

昭和50年度の資料によれば、国税庁の定員は五万二千人程度で現在とほとんど差が無いのに、所得税申告書の提出枚数が700万枚強、法人税申告書については150万枚弱程度だった事を考えれば、現在では膨大な申告書枚数に対してそれをチェックする国税庁職員の数が絶対的に不足している事が理解できます。
申告納税制度の担保としては税務調査というものは制度上欠かせないものです。
少ない定員数で少しでも実地調査率を上げようと、国税庁は四苦八苦して効率的な調査などを指示しており、その結果として税務調査を実際に行っている国税局や税務署では調査官達が余裕の無い仕事に悪戦苦闘しているというのが現状です。
一年中調査件数ノルマに追われている調査官達 
年間の調査の予定件数は、一番単純に書けば
 
(年間稼働日-調査以外の内勤日-有給休暇)÷1件当たりの調査日数
  という算式で求められます
そして調査1件当たりに割り当てられる日数は
  通常の調査(一般調査)・・・・・4~5日程度
  特別調査・・・・・・・・・・・・10日前後  でしょうか?(想定です)

             
※ この外にも短時間で行う調査があるらしいです

接触率(実地調査率)を上げるためには調査日数を増やす策を取らざるを得ず、
   年間稼働日・・・・一年365日は決まっているので不動の確定数値
   内勤日・・・・・・可能な限り内勤日を削り取って調査日数を増やす
   有給休暇・・・・・休暇を申請しづらい雰囲気
   調査割当日数・・・効率良く調査を行って4日かかる調査を2日で終える
となっていくのは極めて当たり前でしょう。

この結果として、調査官達は整理や審理・検討等に必要な内勤日を削られ、有給休暇は取得しづらくなり、効率ばかりを求められる調査で件数の消化を上司から指示されている訳です。
なお上記の調査日数は、実際に会社を訪問しての調査日だけではなく、その後に必要な内部事務、つまり調査結果をまとめて決裁文書を作成する迄の全てを含んでおりますので、実際にはかなり余裕の無いキツいものになっています。

調査時に必要な主な内部事務ですが、
 1 調査の最中は日々調査の結果を上司に報告してその都度指示を受ける(復命)
 2 納税者側との課税案の違いについて「争点整理票」等を作成して検討
 3 調査終了後は上司や審理担当者のOKを貰って課税案を納税者側に通知
 4 調査結果の説明の際に修正申告書の提出を促す
 5 調査結果を文書にまとめて決裁文書作成
 6 納税者側からの修正申告書の提出を待って加算税等を決議し決裁
 7 決裁文書が下りてきてようやく調査1件が終了
(調査官から教えてもらっただけの内容ですので一部相違がある可能性があります)
この調査件数を処理するためには、かなり効率良く調査を入れていかなければならず、納税者側の都合で予定された調査日が変更されたりする事も日常的によく起こる事を考えますと、調査官達はこの件数を消化するために一年中追われた精神状態にあると言えます。
事実、調査官達が仲間内で飲んだりする際には、自分の調査件数の消化の話題などがどうしても多くなるらしく、これでは飲んでも到底リラックスにはほど遠いのではないでしょうか。





 件数だけではなく増差所得と重加のノルマ
調査官のノルマは調査件数だけではありません。
税務調査で納税者からどれかけ申告漏れ所得を掴んだか、またどれだけ納税者の不正事実を把握したのかが年間のノルマとして追求されています。
そしてこれらの実績が調査官の人事評価の一つになっています。
 
増差所得とは? 
調査の結果、当初の申告所得に加算修正される所得金額の事です
(つまり申告漏れ所得金額)

増差所得が大きい → 国庫に入る追徴税額が多額 → 優秀な職員  です。 
重加とは? 
重加算税のこと。
つまり重加算税の賦課事実の有無イコール納税者の不正(脱税)事実を掴んだ件数ということで、調査官は絶えずこの賦課件数と割合を気にしています。
どれだけ増差所得が大きくても重加が無かったら「な~んだ」って思われるらしく、調査官に取っては重加の賦課事実は増差所得以上のありがたいものらしいです。 
この様に調査官は、調査件数の他に増差所得・重加件数という、言ってみれば三重のノルマに追われており、その結果が直接人事上の評価にも結びつくことから、いくら安定している公務員で給料もまあまあだとは言っても、決して楽で楽しい職場ではないと思われます。 





 調査官も人の子
この様に、絶えず件数・増差所得・重加件数の三点セットに追われている調査官ですから、本音を言えば次の様な納税者の調査に当たれば正にラッキーという事です。

 ○ 調査にあまり時間が掛からず、
 ○ 増差所得も多額に出て、
 ○ 重加の賦課もOK

この様な納税者は調査官に取って最高のお客様です。
調査官は決して税務調査を楽しんでいる訳ではありません。
まあ中には調査を天職として楽しんでいる職員も居るには居ますが少数です。
おそらくかなりの職員達は「仕事だから…」という気持ちで「仕方なく」調査を行っている事でしょう。

税務調査は納税者側だけではなく調査官に取ってもかなりストレスを掛ける仕事です。
実地調査の前日には食欲を無くす職員も決して少数ではありません。
月曜日から開始予定の調査が気になって日曜日の夜には気落ちして食欲を無くす、いわゆるサザエさん症候群といった職員だって少なくはないようです。

同じ公務員の中でも、国税職員は病欠割合も高く、健康上医療機関から出される治療や投薬等の指示を受けている職員の割合も高いと言われます。
精神面の弱い職員にはかなり辛い職場だと言えます。
 調査官から見て良い企業、良い税理士とは?
税務調査を行う調査官から見て、良い納税者(企業)、良い税理士とは
  調査に協力的であること!
「協力的」とは別に世間一般で言うところの協力とは少し違います。
具体的に書きますと、
  税務調査の結果について、すぐに調査官の言う通りの修正申告書を提出してくれる

  判断の分かれる問題であっても、税務署側の主張に沿った課税で了承してくれる

  重加算税の賦課決定の要件に少々の事実相違があっても異議を唱えない

  要するに調査官の苦しい立場に理解があって協力を惜しまない企業と税理士
 
反対に、調査官からみて苦手な企業・税理士とは、
   調査に非協力!   なところです。
これも「非協力」とは言っても通常の意味とは少し意味が違います。
税務署側が提示した修正事項に対し、法的な問題点は無いかどうかの検討を必ず行い、納得できないものについては修正申告書の提出を行わず、場合によっては更正決定処分を待って不服申し立てで争うといった企業や税理士の事です。
「課税要件法定主義」云々などと主張して、調査結果の数値に法的根拠を求めてくる面倒な納税者や税理士は、それこそ調査官に取っては悪魔的な存在です。
本来はこれが納税者や税理士としては常識的で当たり前の対応なのですが、税務署等の課税庁側に取ってはこの様な対応をされたら調査件数の消化に大いに支障となります。
本来の納税者の不服申し立ての権利を放棄し、苦しい調査官の立場も考えて、少々不満でも修正申告書を提出してもらいたい、というのが「調査に協力的」という意味です。
さて、皆さんの会社、そして関与税理士さんはどちらでしょうか?
課税庁が敵視する相手とは 
調査に協力・非協力といったレベルではなく、最初から課税庁とは一切の妥協もせず、つまり調査にも応じなければ修正申告書の提出も行わないといった姿勢の企業や税理士も当然に広い日本の中には居ります

課税庁側はこの様な納税者に対しては最初から身構えて調査に臨んでおり、決して課税庁側に取って嫌な相手ではありません。

課税庁側はこの様な納税者には推計による課税、或いは消費税の仕入控除否認といった強硬な課税を行ってきますのでかなり膨大な税負担を求められる危険性があります。

つまりお上に逆らうとこうなるぞ!といった見せしめ的な課税は行われるという事です。
残念ながらこの課税処分は、お上の方も最初から裁判での争いを想定した上で課税をしてきていますので、処分を取り消させるためには、かなりの労力・時間・資金がかかりますし、決してお勧めできるものではありません。 
 民主商工会(通称、民商)について
この団体は中小企業経営者に取って融資等の良き相談相手にもなっている、地域に根ざした商工団体です。
しかし税務調査に関しては長年課税庁側と対決してきた歴史もあり、また中小企業の団体として当然ながら消費税には反対の立場を取ってきたこともあってか、課税庁側では民商を
「反税団体」だとして敵視する政策を採っていました。
税務署内では民商加入者のみを専門に調査する担当があるらしく、その調査はかなりの割合で上記の見せしめ的な課税が行われており、民商加入者を抑制する役割を果たしている様です。
調査では増差所得や重加賦課件数の他に、「民商からの脱会指導」も調査官の実績の一つとなっているらしく、つまり税務調査では憲法第19条に規定する思想信条の自由などの国民の権利にかかわる法律などは全く保障されていません。
公務員には憲法尊重擁護の義務(憲法第99条)がある訳ですが、公務員の行う税務調査でこの様な無法がまかり通っている事に危機感を感じます。
 





申告是認は調査官にとって悪夢そのもの 
調査官がいくら一生懸命に調査をしたところで、これは相手のあることですから、何の問題点も無く指摘事項も無いといった結果はあり得る事です。
税務調査は本来の目的は「申告内容の確認」であり、調べた結果として何の問題点も無かったということは申告が適正だったという事であり、国税庁としても喜ぶべきことなのでしょうが、でも国税庁の本音での調査目的は「申告漏れ所得の発見と追徴金課税」にあり、そのため調査官としては不本意な結果という訳です。 
申告是認を如何に減らすか
申告是認とは、税務調査を行っても何の問題点も見つからず、つまり企業側が行っていた申告書は何ら問題が無い「是認」だったという事です。
しかし調査官に取って「申告是認」という結果は悪夢に近いものです。
よって調査官は追徴金を見込んでいた企業が是認で終わった場合は、何とかしてその事実を隠そうとする事があります。
これは、
申告是認件数が多いという事は、調査官として無能と決めつけられる、つまり調査が下手だと思われる(つまり人事評価上のマイナスポイント)からです。

一年間の事務計画では、何故か年間の申告是認の予定件数が前もって前年度実績等から決められているらしく、その予定件数を上回る場合はそれなりの理由付けを上部機関、つまり税務署の調査ならば国税局に対してしないといけないなどという理由によるもので、そのために調査官はテクニックを使って申告是認件数(割合)を偽装する場合があるらしいです。
このテクニックとは、申告是認となった調査、或いは申告是認になりそうな調査については最初から
調査しなかった事にする
というもので、つまり調査事実そのものを無くすることで申告是認件数ばかりか調査件数からも外れます。
申告是認割合も、分母と分子からその調査事実が外れる事で実体よりも低くなる訳です。
ただこのテクニックは、一年中調査件数の消化に追われる調査官に取っては至難の業です。つまり着手した調査そのものを無かった事にする訳ですから、年間調査件数が厳しく決められている調査官に取ったら、改めてその分の調査を新たに行わなければならない訳であり、日常的に使える業ではありません。

特に数日間も調査した挙げ句に是認という結果になった場合は、さすがにこの調査事実を無かった事にはできません。
調査に着手してすぐだったら、まだ調査に投下した日数が少ないという事で他の事案に切り替える事も可能なのですが、数日間も調査に費やした挙げ句に是認となった場合はもうどうしようもない訳です。


一例を挙げます
    企業Aの調査 ・・・・・・ 修正申告書提出で決着 
             (調査投下日数4日はカウントされる)

    企業Bの調査 ・・・・・・ 申告是認で終了
             (調査投下日数4日はカウントされる)

    企業Cの調査 ・・・・・・ 申告是認になったため打ち切る
            ( 調査投下日数2日は宙に浮く)

    企業Dの調査 
        ・・・・・・ 2日間で調査を終えても企業Cの分の
               投下日数を加えて4日の日数となる


平均調査日数は4~5日間程度として年間の調査件数が決められています。
よって申告是認で浮いた日数は仕事をしないで遊んでいた日数と同じ様に扱われますので、別な事案の調査日数に振り替えて帳尻を合わせる必要があります

上司が新米調査官に指示する事に
「できるだけ早く見極めること」
というのがあります。

つまり申告是認になりそうな事案は、できるだけ深入りせずに早めに打ち切って別な事案を調査せよ、という指示であり、つまり
【申告是認件数を如何に減らすか】
は調査官個人個人ではなく課税庁全体の方針になっています。
税務調査の事前通知での電話応答ですが、
税務署 「先生の関与先の株式会社○○さんに調査に行きたいのですが・・・」
税理士 「もうですか?、2年前に調査されたばかりですが・・・」
税務署 「え?、もう十年以上調査に行っていないはずですがね」
税理士 「間違いなく2年前に××さんという調査官が一日だけ調査していきましたけど」


これは決してフィクションではなく実際に頻繁に起こっていた事実です。
周りの税理士さんからも幾つか似た話を聞いておりますので、やはりこの様なことは日常茶飯事にあった様です。
調査した場合の調査記録はしっかり課税庁内に残されているはずなのですが、調査そのものの事実を無かった事とした場合、記録も全て破棄される場合もあり、この様に調査されたのに調査歴が残っていないという状況が生まれる訳です。

平成25年以降、つまり国税通則法で税務調査手続が法律でしっかり規定されて以降は少なくともこの様な事はやりづらくなったのでしょうが、でも完全に無くなったかどうかは未確認です。





修正申告での決着は絶対条件
調査の終了手続は別なページで詳しく紹介をさせていただいたところです。
調査官としては納税者に修正申告書を「自主的に」提出してもらって調査を終了させる訳ですが、もし納税者が修正申告書の提出に応じなかった場合には調査官はそれこそ真っ青になるしかありません。修正申告書による決着ではなく税務署の課税権を行使して更正決定処分を行うには事務的にもかなり高いハードルがあるからです。
 先のページでも書きましたが、修正申告書の法的性格とは?
調査官に提出する様に言われて仕方なく提出したものであっても、あくまで法律的には納税者が勝手に自主提出したものであり、仮に課税内容に誤り等があったところで、行政庁はその責を負う事は無い、というものです。

つまりもし課税要件ではないものを課税と認めて修正申告書を提出してしまった場合でも、それは納税者が勝手に提出したものであるとの理由で課税庁は何ら責任を負わず、支払ってしまった税金を取り戻す事は難しいという事になります。

税務署等の課税庁側が納税者に修正申告書の提出をさせる事によって調査を終わらせたい理由は、後々の面倒もなく、また何か問題があっても責任を取る必要が無いからです。
税務調査で問題点を指摘された場合(申告是認ではなかった場合です)、税務調査はほとんどの場合、修正申告書を提出して追加納税額を納めることで終了します

改めて記載しますが、修正申告書というのは
納税者側が自主的に自分の誤りを認めて提出する
という性格のもので、調査結果に基づいて修正申告書を提出するということは、
税務署から指摘された問題点の全てを認めた上で
自主的に自分の申告書を訂正するというものです。 
修正申告書というのは上にも書いた様に「納税者が自主的に提出してきたもの」という性格のものであり、税務署の指示で提出されたものであってもあくまで納税者の自主的な提出だったという考え方です。

つまり修正申告書に誤りが、つまり本来は課税要件に当たらないものが課税として申告されていても、税務署側は「自主的に課税と判断したもの」として、その税金の還付には容易に応じてくれませんし、還付してもらうにはかなり高いハードルを乗り越えなければならない事となりますす。

税務署から見た場合、納税者側に問題点の指摘事項を全て認めさせて修正申告書を提出してもらうことで調査を終了する事は、後々の面倒が全く無く理想的な終結と言えます。
仮に事実関係や課税要件に少々曖昧でグレーな部分があっても、納税者側がそれを認めて修正申告書を提出した時点でそれらの問題は全て決着済みとなってしまうからです。
修正申告書を提出した後で、それらの曖昧かつグレーな問題点について争っても相手にもされません。 
申告書が間違っていた事を指摘しても
「だってあなたが納得して申告書に押印したんでしょ?」
と言われるだけです。
調査官に指示されたから、といくら言い訳しても通用しません。

よって税務調査は申告是認の場合を除いてはほとんどは
「修正申告書の提出」
という形で調査を終結します。

仮に納税者側が修正申告書の提出に躊躇して、本来の法律通りの課税を望んでも、税務署側は様々な圧力を掛けたり、また一部で納税者の主張を認めたりして、要するに
アメとムチを使って
何とか修正申告書を提出させようとします。 
 <法律上の税務調査の終結とは>
納税者は更正決定処分を受ける迄は修正申告書を提出する権利がある


<でも実際には>
課税庁は納税者に強く圧力をかけ、アメとムチを使ってでも何とか修正申告書を提出させようとする
つまり法的には調査は更正決定という形で終結するのが原則です。
(課税庁は納税者に対し修正申告書の提出を慫慂する事ができるだけです)

もし課税庁が納税者からの修正申告書の提出を受けないで更正決定で課税を行おうとする場合は、その後々の不服申立(別ページ参照)に備えて事実関係や課税要件の曖昧なグレーゾーン部分等を全てしっかりと調査して課税事実を立証せねばならず、調査件数消化を至上命題とする課税庁側に取っては頭の痛い問題です。
課税庁側とすれば、納税者側が一切の不服申立権を放棄した修正申告書による調査決着が何よりもありがたい話なのです。
もし更正決定で課税する様な調査をやろうとしたら、調査時間がかかってとてもこんな調査件数消化は不可能!

(これが調査官の正直な本音なのです)





修正申告書を提出させるためのアメとムチ作戦 
修正申告書の提出に応じない場合、上にも記載した様に課税庁側は様々な手段で修正申告書の提出を求めてきます。
その主なものは以下の様なものでしょうか。
あまり重要ではない部分の修正事項について無かった事にするから残りの部分については税務署の主張に沿って修正申告書の提出をお願いしたい。

5年間遡って課税するところを3年分だけにするから修正申告書を提出してほしい。

本来は重加算税を賦課するところを過少申告加算税だけにするから。

不服申立をすると手間も時間もかかる上に税金に利息(延滞税)も加算されるから修正申告で決着した方が貴社のためですと言って修正申告書の提出を求める。

本当は青色申告の承認を取り消すことになるが、修正申告書さえ提出してくれれば取り消し処分は行わない。
筆者も税理士として税務調査の立会件数は三桁はありますから、この様な駆け引きの話は何度も経験しております。
結論から言いますとそれほど気になさらなくて良いかと思います。

5年間遡るところを3年間だけとするとか、或いは重加算税賦課の件などは、本来は調査担当者が決める事ではなく税務署長の判断によるものです。
よって調査官との間でいくら口約束をしたところで税務署長が認めなければ意味を成しませんし、所詮は修正申告書を提出させるための口実に過ぎません。

不服申立をすると時間が掛かるのは事実です。
追徴税金には延滞税という利息も加算される事も事実なのですが、でも修正申告書を提出しても延滞税はしっかり加算されますし、修正申告書さえ出せば全て丸く収まるといったものではありません。
もし修正申告書を提出せずに敢えて更正決定処分という賦課決定を受ける場合には、税金だけは先に無理をしてでも一旦納税をした上で不服申立で争うのがベターです。
課税処分の争いに勝てば一旦納税した税金は利息付きで戻ってきます。

青色申告の取り消しを駆け引きに使う調査官もかなりいます。 
「どうぞ取り消してください」と言えば困るのは調査官の方です。
青色申告の取り消し処分というのは課税庁に取ってもかなりハードルが高く、取り消す理由を全て課税庁側で立証した上で理由文を書かなければならない事となり、忙しい調査官達に取っては面倒極まりない手続が必要となります。
もし本当に青色申告の取消処分に該当する様な企業だったら、調査官個人の判断の余地など無いままに処分が行われます。
調査官段階で「取り消しを行わないから」などと言っているということは、そもそも取消処分となる様な事実は無いと思って間違いがないでしょう。 
要するに、税務調査のほとんどは修正申告書を提出する事で初めて終わります。

修正申告書を提出するということは、税務署の指摘事項に対して、
調査官の御指摘通り追加の税金を支払いますし、今後この件について一切の不服の申し立てを行いません
という念書を入れるのと同じ事だということを良く認識する必要があります。
何度も同じ事を繰り返す様ですが、
 修正申告書への押印は慎重に!
           ということです。

100%納得した上で提出しないと後々で後悔することとなります
法人組織の企業の場合は、ほとんどが税理士さんの関与もあって修正申告について相談する機会もありますが、個人企業で税理士さんの関与が無い場合などは、調査官が修正申告書の数値を全て記載した上で納税者には署名押印のみを求める場合があります。
そんな場合であっても、絶対にその場では署名押印には応じず、最低1~2晩は良く考え、出来れば税理士さんなどによく相談した上で提出する様にしてください





増差所得は遡及年数で稼げ 
先に記載しました通り、税務調査というのは、原則は直近年度分から3年(期)分を対象に行われ、稀に5年(期)遡って申告漏れについての修正申告書の提出と追加の納税を求められる訳です。

但し例外として、「偽りその他不正の行為により税額を免れた」といった事実があったと認められた時には、その3~5期(年)分という規定が7期(年)分に延長されます。
(国税通則法第70条)

要約すれば、調査官が一つの申告漏れという事実を「偽り」または「不正」が原因と認定した場合は、調査の対象年分が一気に7期(年)分となり、つまり7年も前の申告漏れについてまで税金の追徴が行われる事となります。
このことは絶えず増差所得という実績ノルマを抱えている調査官に取っては、安易に数値を稼ぐ事のできる、実に美味しい手段の一つとなります。 
例えばある会社が毎期100万円の所得の申告漏れを指摘された場合を想定します。

○ 単純な申告漏れと調査官が判断した場合
  (最大5期分の遡及ができますが一般的には3期分の課税が主です)

   申告漏れ所得3期分で300万円
   仮に税率40%とすれば120万円の追徴金
   過少申告加算税が12万円
   延滞税(利息的な税金)が3年分ではなく1年分だけ計算されます

○ 偽りその他不正行為だと判断した場合
  (7期分遡及課税を行います)

   申告漏れ所得は7期分で700万円
   税率40%として280万円が追加で課税される
   重加算税が約100万円
   延滞税も7年分丸々計算されます

この税額差は延滞税を無視しても250万円にもなります。
調査官の一つの判断だけでこれだけの税額の差が出てしまう訳です。

上記計算はかなり簡略化しており、実際にはもう少し複雑な計算となります
つまり、調査官に取っては、少しでも申告漏れの理由を「偽り」や「不正」と認定してしまえば増差所得という「実績」を一気に稼ぐ事もでき、調査を行った成果としては充分に満足できる結果になります。
そのために調査官は一つの事実を全て悪い方に悪い方に解釈する傾向があります。

「偽り」「不正」といった事実認定の有無だけで追徴できる税金にこれだけの差がある訳ですから、実績ノルマに追われている調査官に取ったら無意識のうちに悪い方に解釈してしまうのはある面では仕方がない事かも知れません。

増差所得を稼ぐには遡及年分(年度)数を増やすのが一番の早道。
法的には3~5期(年)しか遡及できなくても、申告漏れの原因を「偽り」や「不正」と判断してしまえば一気に増差所得を稼ぐことができます。
また重加算税の賦課事実も実績の一つとなりますから一石二鳥です。

重加算税も7年遡及課税も、実際にはどちらも調査官の判断ではなく賦課決定権のある税務署長の判断によるものです。
しかし税務署長は担当調査官の報告のみを聞いて課税の決断をする訳であり、納税者の意見などは全く聞く機会などありませんから、嫌でも課税結果は担当調査官の方針通りとなってしまうのは仕方がありません。
7年遡及する課税は明らかに違法 
元々は「偽り」や「不正」事実があった場合の調査遡及年数(課税の時効です)は5年でした。
それが昭和56年の法律改正で7年に延びた訳ですが、これは特に政治家絡みの贈収賄事件等で課税が時効の壁に阻まれた事などがあって課税の時効が延長されたものです。

つまり5年が7年に延びた理由は、悪質な政治屋(家ではない)に対する課税強化や超大口の脱税事件を取り締まるための趣旨で改正されたものであり、その面では我々納税者は悪質な一部の犯罪的脱法行為の取り締まりに期待したものです。

しかしこの改正には不安もありました。つまり本来は大口脱税事件を取り締まるべき趣旨だったこの法改正が中小零細企業の調査にまで適用された場合、これはとんでもない税の負担増になります。

よってこの法改正には中小零細企業に適用したりする乱用を避ける意味で下記の付帯決議が行われました。 
 第94回国会・参議院大蔵委員会の付帯決議
(昭和56年5月15日)

1 原則として高額悪質な脱税者に限る
2 いたずらに対象範囲を拡大する事の無いよう
3 中小企業者に無用の混乱を生ずる事の無いよう
            以上の特段の配慮をすること

    詳細は    
残念ながらこの付帯決議は現状では全く生かされていません。
付帯決議を読む限り、7年分も遡って課税されるのは、マルサ、つまり高額悪質な犯罪的な脱税を取り締まる国税局の査察部が行う様な調査に限って適用されるはずなのですが、現状では税務署でごく普通に行われている税務調査でも適用されています。

事実、全国的に零細企業の僅かな申告漏れに7年課税が行われている等々の実例があり、中には日当で働く日雇いの建築労務者に7年間の所得税と重加算税が課せられたといった酷い例もあります。

確かに過少申告をしていたという事実については弁解のしようもありませんし反省すべきなのでしょうが、この程度の過少申告についてまで7年間の課税を行うという事が法の趣旨なのかどうかというと疑問を感じます。

新聞誌上などのマスコミに時々大企業や著名人の脱税・申告漏れの報道がされる事があります。この様な数億円単位の脱税(最近では数十億円という単位もあります)という事件であっても、7年分遡った課税が行われている事例はその中のごく一部です。
脱税額が多額になった場合、その証拠固め等にはかなりの課税庁側の時間と労力が必要な事から、この様な大口脱税事件では7年分丸々課税を行うのは難しい様です。
 つまり7年間の課税は法律制定の趣旨に反して
零細企業の調査に広く適用
され、
調査官の増差所得を稼ぐために
取りやすいところから適用
されていると言えます。





税務調査のやり方に疑問を持つ調査官もいます 
 税務調査の現状は、今までに書き並べて来た様に決して公平ではなく、人権無視の調査執行体制や、また強者に弱く弱者に強いといったやり方・法律的根拠の無い強引な課税等々、様々な問題があることはプロ中のプロである調査官自身が一番良く知っている事です。

 国会議員や有力者、または国税局幹部の親戚とかが絡んできたりして、せっかくの調査が途中で打ち切りさせられたり、また大幅に課税額が減額されて口惜しい思いをしたといった経験はほとんどの調査官が持っていると聞きます。

 第一線で働いている調査官ほど税の不公平を実感する者はいないでしょう。

 調査官の中にも正義感が強い人達はかなり居り、、この様な各種の問題点が良心的な調査官達を苦しめているという現実もあるということです。

 ただやはり最近の若い職員の間には、この様な問題に何の疑問も感じない人達も残念ながらかなりの割合を占めている様です。
 これは何と言っても国税当局の指導(思想教育)の影響が大です。 
物言わぬ「徴税ロボット」を望む国税庁
【犯罪的な労務政策の中で行われる思想教育】 
 国税局や税務署で働く職員達にも一応は労働組合があります。
 労働組合は昭和30年代に国税庁の政策により分裂をさせられており、現在では全国税労働組合という国公労連系の組合と、国税労組という連合系の組合があります。
 全国税労働組合の方は現在でも国税庁の強い攻撃や人事差別等に遭って極めて少数の組織となっており、一方の国税労組の方は職員の大多数が加入しています。

 この全国税労働組合のホームページを読みますと、当局である国税庁の激しい人事政策の幾つかを知る事ができます。

    全国税労働組合ホームページは   

 全国税労働組合は闘争方針の中に「税制や税務行政にモノ申す」とか「税研集会」といった内容の、如何にも当局側である国税庁から見れば「目の上のたんこぶ」といった内容のものがありますが、一方の国税労組の方は、国税庁の方針には一切文句を言わない逆らわないといった方針の組合ですので、国税庁に取っては実にありがたい組織となっています。
 国税庁は全国税労働組合を敵視し、その一方で国税労組には人事面や処遇面で優遇する事で全国税労働組合への加入者を抑え込んでいます。 
 国税庁の若年職員者に対する指導は徹底しております。

 税務署員が第一線に配属される前に入校する税務大学校で行われていた憲法違反とも言える思想教育や、平成元年に明らかになった国税当局の犯罪的な労務政策、つまり国税局が全職員の思想信条や交友関係等を全て調査した上で、特定の労働組合所属職員、つまり全国税労働組合員に対し昇進等で露骨な差別人事を行ってきたという経過があります。
(全国税労働組合加入者と国税労組加入者との間に明らかな人事差別を行った)

 税務署員は思想信条的に国税当局に抑え付けられており、自由に思った事が言えないというのが現状です。

 犯罪的な労務政策が何故行われているのかと言えば、やはり国税当局に取っては国税局の方針等に疑問を感じずに忠実に調査を行ってくれる職員、つまり、
「一切文句を言わない職員」
造りが最終目標だからに外なりません。

 上記、全国税労働組合では、この様な職員教育を「徴税ロボット造り」と評しており、そんな中では、仮に税務調査のあり方に疑問を持ったとしても、それを職場の中で自分の意見だとして表に出す事はかなり勇気の必要な事ですし困難な事が想定されます。 
 労働組合というのは、我々の様な職員でもない外部の者に取っては無縁の様な気がしますが、でも税務調査がこれだけ強権的に進められる様になったのは、国税庁の内部組織である労働組合の弱体化があっての事だったのは間違いがありません。

 事実、国税庁の労働組合が分裂させられたのは、国民と国税庁職員達が一体になって盛り上がった国税通則法制定反対運動の中で起こったものであり、昭和37年以降、労働組合が分裂して弱体化した後は、消費税法制定などの諸々の税制改悪の国民的運動の中でも、国税庁内部からの反対の声だけは全て完全に封じ込められてしまっています。

 税制を民主的、そして国民の大多数が望む形に変えていくためには、やはり外からの声だけでは不充分であり、国税庁の内部にいる職員達の声を交えて初めて実現に向かっていくものだと考えております。 






人間関係の付き合いにも制限がある調査官

隣近所・町内会・PTAの活動にも制限
閉ざされた職場である【国税】の世界
 
 国税局や税務署に勤務する調査官達は、仕事の特殊性からと評して仕事に無関係な個人間の付き合いについてもかなり制限を受けます。
 つまり飲食や会合・ゴルフ・旅行などについて、これが国税局や税務署仲間とのものだったら何も言われることは無いのですが、これが例えば隣近所の付き合いや学生時代の仲間等、税務関係とは無関係の付き合いによる場合は異常なまでの詮索を受ける事となります。
どんなメンバーが参加して費用は誰が負担したか等まで報告させられる国税職員にはもうプライバシーはありません。
(公務員倫理法が制定されて以降、神経質な位にチェックされるらしいです)

 いくら贈収賄事件に発展するのを怖れるためのものだとは言っても、国税局大幹部達の業者との派手な付き合いには一切目をつぶりながら下っ端公務員だけを厳しく取り締まるやり方は本末転倒と言えるでしょう。

 なお、上に書いた犯罪的労務政策の中では、国税庁が職員の思想信条だけではなく親戚や友人知人の顔ぶれまでチェックして、何と電話の盗聴までして調査していたという事実までが明らかになっております。

 要約すれば、国税当局に取っては、せっかく苦労して育てた調査官は、出来るだけ外部の人達からの「悪影響」は受けてもらいたくはないというのが本音なのでしょうか。

税務署や国税局=内部
それ以外の世界=外部

可愛い職員達はできるだけ外部の人達には接触させたくないという過保護な職場です

 この様な「閉ざされた世界」というのは警察や自衛隊等々にもあり、共通するのは国家権力を行使する機関という点です。 
勤務時間を離れても24時間
ずっと調査から離れられない
 
 調査官達は執務時間を終えて家に帰宅した後、また祝祭日なども絶えず365日24時間中調査官という立場を求められていると聞きます。

 例えば家族で旅行や行楽に出掛けた時に入ったレストランで食事した場合であっても、レジ現金の管理方法や従業員の数、調査官が店に居た時点での客数等、目に付いた情報は今後の調査に必要な情報として、できるだけ資料化して後日の調査に役立てる事を求められているらしいです。

 これらの情報は「情報探聞資料箋」と呼ばれ、一人○枚、といった収集ノルマがあると聞いています。


   調査官がプライバシーな時間に集めたA店に関する情報
      → 「情報探聞資料箋」に記載する
          ↓
   情報探聞資料銭は記載した調査官の所属する税務署から
   A店の管轄税務署に送付される
          ↓
   A店の税務調査の際にこの情報探聞資料箋は他の資料と同じ
   様に活用される
                     という流れです。

 調査官も大変ですが、食事を提供しているお店の方に取っても嫌な話です。こんなことを考えていたのではとても休日でもリラックスなどできませんね。

 この話はかなり以前に聞いた情報なのですが、今でも実施されているのでしょうか?。
人前で誇れない仕事に悩む調査官 
 飲みに行った時、或いはプライベートな時間での人との出会い、そんな時に一番困るのは店の人や同行者達から「お仕事は?」と聞かれる事らしいです。つまりそういう場合に、例えば「税務署に勤めてます!」と誇りを持って言える人は少ないのが現状との事です。

 国の財政には欠かせない大事な仕事をしている調査官達なのですが、必ずしも国民の中では好意を持って見られていないというのが国税局や税務署の仕事なのでしょうか。

 税務署のイメージはやはり「中小企業虐め」「情け容赦無し」といったもの。
 つまり調査官の個人個人ではなく税務署という官庁がやっている仕事の内容が必ずしも国民から支持されていないという事でしょう。

 税務署も庶民と敵対する様なやり方ではなく国民と視線を一にする仕事、つまり超悪質な大口脱税企業や金権政治家の取り締まりなど、国民が拍手喝采する様な仕事を専門にやる様になれば初めて税務職員も自分の仕事を誇らしげに言えるのでしょう。

 ロッキード事件(古い!)の時に、捜査を担当していた東京地検特捜部が日本中から英雄視された事もありました。
 警視庁と東京国税局査察部も合同でこの事件を担当しましたし、また汚職と金権政治家と言われた金丸信の政治生命を奪ったのも東京国税局の査察部でした。
 調査官に取ったらこの様な国民から応援される仕事をしたいというのが正直な気持ちであり、誰も好きこのんで庶民や零細企業から厳しく税金を取り立てたくはないのです


 つまり国の政策が悪いから調査官達が犠牲になっているのだと思います。一人一人の調査官達は本当に人間的にも優れている方も多いですし好感が持てる方ばかりです。
 最悪な職場環境
 国税局や税務署の職員達が加入できる全国税労働組合の機関誌などをネット等で読ませていただきますと職場環境がかなり劣悪である事がわかります。
 労働組合所属による差別人事は上にも記載したところですが、差別というのは決して一つのパターンだけで収まるものではなく、組合差別だけではなく男女差別・学歴差別といったものは他の公務員の職場より多いと聞きます。
 パワハラやセクハラも深刻な問題になっているらしいです。

 公務員であっても給料取りである以上はサラリーマンであり、サラリーマンに取って最大の目的は出世と給料、すなわち昇任昇格といった処遇問題でしょう。
 毎年7月に国税職員の人事異動が行われる訳ですが、この人事異動は決して公正に行われているとは言えないようです。

 上に甘く下に厳しい、いわゆる「ヒラメ」的な人が出世するのはどこの世界でもあり得る事なので国税職員だけの問題ではないのでしょうが、でも上司のやり方や指示に対して絶対服従をしない(できない)性格の人は出世コースからは外されるようです。

 上に書いた様に、税制や税務行政(税務調査のやり方も含む)に対しての疑問などを真面目に考えている人ほど国税の職場内ではコースから外れます。

 出世する人は、必ずしも仕事の能力だけで役職に就いた人だけではありません。

 中には上司からの覚えの良さだけだったり、或いは国税庁が加入を推進している国税労組という労働組合で頑張った人への功労といった意味で役職に就いた人もいます。

 仕事の能力があるベテラン調査官の上に就く上司がこの様な人だったら悲劇です。

 調査に来たベテランの調査官からたまたま聞いた話なのですが、調査の実態を知らない上司が色々と的外れな指示をしてくるのがたまらないと愚痴っていました。

 同じ国税職員であっても、国税局に勤める職員と税務署の職員とでは明らかな格差があるらしく、国税局の職員は税務署員を格下に見ている様です。しかし国税局勤務の経験無しに一生税務署員で終わる職員はかなりの割合で存在をしており、国税局経験者と税務署のみの職員は給料や昇任昇格についても明らかな格差があるらしいです。

 国税職員達はほぼ3~4年毎に人事異動が行われ、単身赴任も含むこの人事異動問題が調査官達の最大の関心事であり悩みでもあるらしいです。

 共稼ぎとか子供の保育園問題とか子供の学校の転校などという各人の特殊事情などは、一応は考慮する形を採っているものの、実際には「切り捨て御免人事」と評されたほどの人事異動が「公務の要請」の一言で片付けられ、多くの職員、そして家族が泣いています。

 人事異動は当然ながら異動先(税務署)の数が多い都市部よりも、異動先が少ない地方の方が、単身赴任や引っ越し・転校問題等で深刻な悩みとなっています。

 色々と労働組合の記事を読ませていただいて感じました。
 国税の職場は、上司は部下を全ての感情を持つ事を許されない働きバチにしか扱っていないし、部下は無能な上司を心の中でバカにしている・・・。

 そして馬鹿な上司とはどんなに長くても3年我慢すれば人事異動でおさらば・・・。
こんな感じ?。




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