税務調査について

6 税務調査に勝つためには








税務調査に「勝つ」とは 
税務調査は勝負ではありませんから「勝ち負け」という感覚はありません。

でも調査が終わって多額の追徴金を支払う時には「残念」といった感情が混じるのは当然であり、反対に追徴金ゼロで何のお咎めも無く調査が終わった場合には勝負事で勝った時と同じ様な嬉しさを感じる方もいらっしゃると思います。

税務調査は「勝負」ではないものの、やはりその結果には追徴金という金銭負担が伴うことから、心理的には「勝負」に近いものがあると思います。
では「税務調査に勝つ」とは? 
1 早期決着
税務調査期間中の経営者・経理責任者等の心労はかなりのものです。追徴金云々よりもとにかく早く終わらせてくれ!、とおっしゃる方もよく居られます。
とにかく一日でも早く終わる事が大事です。

2 追徴金ゼロ!
ゼロとは言わないまでも、少額で終わるにこした事はありません。

この2点ではないかと思われます。 
 「勝つ」ためには税務調査を利用するという気持ちも重要
嫌だ嫌だと言っても拒否できないのが税務調査。
どうせ調査されるのならば、せっかくですから逆に調査を利用してみては如何でしょうか?。
税務調査の結果、会社の経営上の問題点を早期に知ることもありますし、また今までの調査の中では従業員が会社の売上や売掛金を着服していた事実まで分かった事も何度かありました。
正に調査様々です。
税務調査を受けるということは、決してマイナス要素ばかりではありません。
プラス思考で考えれば調査も良いものです。
無料で企業診断をしてくれると思ったら税務調査は実にありがたいものです。
飲食店の従業員が日々の売上を着服していた事実を税務署員に見つけてもらった時には、この会社の社長は当の税務署員に感謝をしておりました。
被害が膨らむ前に最小限に食い止める事ができた訳です。
また会社の経営上の問題点などを指摘してくれる調査官もいます。
調査官はただ税金を追徴しに来るだけではないという事です。 







 税務調査が入らない企業とは
 税務調査は決して全ての企業に公平に行われている訳ではありません。
ほぼ毎年、或いは3年毎に決まって調査官の訪問を受ける企業もあれば、開業して数十年も経つのに一度も調査官の訪問が無いという企業もあります。

この差はいったい何なのでしょうか
調査官が税務調査先の選定を行うやり方 
一番最初のページ「税務調査とは何?」内の「調査対象はどの様に選ばれるか」をご参考にしていただければと存じますが、調査官が調査対象企業を選定する作業(これを申告審理といいます)の際に対象から外れた場合には、取り合えずその年度中の調査はありません。
国税局や税務署の年度は人事異動の関係で7月~翌年6月となっております。
調査対象企業の選定作業、つまり申告審理の時期は、申告書提出後数ヶ月後、つまり例えて書けば3月決算法人ならば5月に申告提出があり7月前後にこの申告審理が行われます。
個人事業主でしたら申告が3月ですからやはり7月前後が申告審理となります。
この選定に漏れた場合は、その一年後の申告審理までは調査対象となることはありません。
つまり貴社(貴方)の申告書が調査官にチェックされるのは一年に一度だけ。
そのチェックに漏れた場合には取り合えず一年間は調査対象となる事はありません。
但し特別な資料情報等があって追加に調査対象となる場合もあります。


つまり、たまたま調査官の目を逃れてその年度の調査対象から外れても、必ず翌年度には目に止まりますし、そんな「幸運」は何年間も続くはずがありません。
それでも何年間も税務調査が入らない企業は実在します。
何故なのでしょうか?。
では長期間調査が入らない企業とは?
企業の業種が調査の対象に値しない場合 
例えば収入がガラス張りの企業などは調査が入る事はあまりありません。
調査官も基本的には税金の追徴が目的ですから、収入が間違いなさそうな会社は税金の追徴も望めないという事で、余程の理由が無いと調査に来ない様です。
例えば毎月決まった家賃しか入ってこない不動産の賃貸業者などはあまり調査対象とはならない様です。

また業種自体が不況だと調査対象から外される様です。
これは課税庁が企業の事を優しく思いやって調査対象から外す訳ではなく、儲かっていない企業は所得を誤魔化す事も無いだろうし、また仮に追徴税額を決定したところで払えないだろうといった事です。
企業の事業規模が小さい 
事業規模が小さく従業員もいない様な会社はまず調査対象となる事はありません。
年間収入が数百万といった単位の会社は消費税の課税事業者にもなりませんし、まず余程の誤りが無い限りは申告書はフリーパスです。
調査官も決して暇ではありません。 
欠損企業 
赤字申告をしている企業は、例え申告漏れの所得が発見されたところで、申告赤字がやや減少するだけの事であり、追徴税額が発生しない可能性が高い事から、調査の対象になる事はあまり無いようです。
国の財政が赤字のせいか、課税庁も正に営利企業化しており、追徴税金の出そうにないところには調査に来ません。
但し欠損法人であっても、消費税で追徴税を取れそうだと思われた場合には、調査官は勇んでやって来ます。 
調査官が嫌がる企業 
調査官も人の子。出来るだけ楽に調査を終わらせたいという気持ちがあるのは当然でしょう。
よって最初から調査困難と予想される企業は調査官も担当するのは避けたがります。
具体的に書けば、例えば厳ついお兄さんや指が欠けた強面の怖いオジさん達がいる企業などは、余程の事が無いとまず調査の対象にはなりません。
日本語が通じない企業などもほとんどの調査官達からは避けられる事となりますが、こちらの方はちゃんと外国語ペラペラな職員が専門に担当します。
その他調査対象から外される企業 
恥ずかしい話ですが、国税局・税務署の幹部や親戚が絡む企業、或いはそれらの幹部の行きつけの飲食店等、また官公庁御用達の業者なども調査対象となる事はまずありません。
政治家絡みの企業も外されます。
これらはどちらかと言えば都市部よりも田舎の方にその傾向が強い様です。

また国税局や税務署の元幹部が関与税理士(OB税理士と呼んでいます)として名を連ねている場合も調査対象から外される事がありますし、税務調査を嫌がる企業などはわざわざこのために無駄な顧問料を支払ってOB税理士と顧問契約をしている例もあります。

不公平税制とはよく言われますが、税務調査も決して公平には行われていません。
特に国税局・税務署の元幹部絡みの問題は一人の国民として情けない思いがします。
調査官の中にも正義感が強く良心的な人達が大勢居り、そんな職員達が一番歯がゆく恥ずかしい思いをしているはずです。
税務調査が入らない企業ということは、多くの場合は不況業種か欠損企業、或いは調査に値しない程に小規模な儲からない企業ということで、これは企業経営者としては喜ぶのではなく不名誉として捉える必要があります

つまり
調査が入らない企業=税務署にも相手にされない企業
という認識を持つことが重要でしょう。





企業としての理想像 
大いに利益を出し、
税務署にも頻繁に調べてもらい、
そして追徴金はゼロ!
これが企業の理想像でしょう。
税務署にも注目されるほどの利益を出し、そして税務調査では数年間隔で定期的に調べてもらって企業の問題点の指摘を(無料の企業診断)してもらい、でも税務調査の追徴金としてはゼロまたは少額(企業診断の手数料位は仕方がない?)で済んでしまう・・・。
これが企業として理想像です。
どうせ避けることのできない税務調査ですから大いに活用しましょう!



【税務調査について】トップメニューに戻る






前のページ   次のページ
   

Page Top